途中、11時頃に食事を取り、食事が終わってみると後ろのタイヤの空気が抜けていた。 あらら・・・ と思ったが、ふと前を見ると目の前に自転車兼バイク屋がある。 そういえば、「ベトナムはパンクを違った方法で治すので時間がかかるが確実」とロンリープラネットに書いてあったのだが、その方法とベトナム人の手腕を見てみたいと思ったので入ってみることにした。 パンクの修理は5,000ドン(34円)とロンリープラネットに書いてあったが、実際その値段だった。
手さばきを見ていると、確かにこなれている。 私もそのこなれた感覚を少し真似したいと思った。 彼の手さばきは、なんとなく”感覚的なもの”の参考になった。 後、私の自転車のタイヤはフレンチバルブを使っているのだが、最初、彼が修理を始めた時は”あ、フレンチバブルに空気を入れられるかな?”と思っていたのだが、ふと取り出した空気入れをそのまま挿して空気を入れだしたのを見て、”あ、ここはフランス領だったんだ・・・。タイヤもフレンチバブルが普及しているのか。”と気が付いた。
周囲の自転車を見てみると、確かにフレンチバブルだ。 この国の歴史を感じてしまった。
そして、修理を済ませ、私は走り出した。
しばらく走り、緩やかな坂をいくつか越えて行く。
快適な道だ・・・。 と思ったら、30分ほど過ぎた後、再度後ろのタイヤの空気が抜け始めた。
あらら・・・? と思ってみてみたら、先ほど穴が開いた場所のタイヤの外側に、ガラスの破片が刺さっている。 彼は、タイヤの内側は確認したのだが外側は確認していなかったことを思い出す。
仕方が無いので、修理をすることに。
道の脇に自転車を止め、タイヤの修理をしていると、いつの間にか人が集まってきた・・・・。
困った困った。 人が集まると、泥棒が必ず出るのだ。 来ないでほしかった。 食べ物屋からも離れているから大丈夫だと思ったが、甘かったようだ。
案の定、一人の老人が「この空気入れで空気を入れていいか?」と聞いてきた。 私は、ニュアンスと共に「そのタイヤに入れたら破裂するよ」と言って使わせなかった。 老人も、特に無理矢理使おうとはしなかったのでとりあえずほおっておいた。 ただ、前バッグを勝手に開けられないよう、随時目を見張らせていた。
その後、タイヤの修理が終わり、空気を入れる段階になった。 空気を入れようとすると、先ほどの老人が手伝ってくれる。 そして、空気を入れ終わった後、「私のにも入れていいか」と言うので仕方なく「いい」と言ったら、そろりそろりと、それを自転車の籠に置こうとするじゃないですか。
まったく、と思い、Noを言うと、その老人は「え?」というニュアンスをする。 気付かなければ持っていったところだっただろう。 全く、油断できない。
その間も、前バッグには常に気を付ける必要があった。 これだから、パンク修理中に人に紛れるのは嫌なのだ。
最終的には何も盗まれなかったが、勝因が3つあり、1つは「あらかじめ必要なものだけ外に出して、バッグの蓋はきちんと閉じておいたこと。」、もう1つは「修理中、自転車とその装備に常に目を向けていたこと。」、もう1つは「外に出している道具を一箇所にまとめ、取られないよう目を見張ること」である。
疲れている時はかなり危なくなるが、今回は余裕があったのできちんと対処が出来た。 はっきり言って、空気入れを盗まれたらしゃれにならない。 高圧が入れられる空気入れなんてこちらで手に入る筈もないからだ。
最後、この老人にお礼として、先日おみやげ物やで買わされた、よくわからないお米のような食べ物をあげることにした。 「ありがとう」のお礼半分、「これでも食べておとなしくしていなさい」のお礼が半分だ。
ようやく、その人ごみから離れ、自転車で走り出す。 念のため10mくらい走ってから一度立ち止まり、前バッグの主要荷物(カメラ、財布、電卓等)が盗まれていないことを確認した。